一般小児科

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小児漢方外来

漢方薬は、生薬を2種類以上混ぜて作られた薬で、昔からお子さんから大人まで用いられてきた薬のひとつです。現在では、多くの漢方薬に科学的根拠が示されています。さらに、治療のガイドラインに有効性が記載され、お子さんの治療でも使われています。当院では、西洋医学での治療に加えて、症状や疾患など必要に応じて東洋医学の漢方薬を取り入れた治療を行っています。また、漢方には母子同服という考えがあり、お薬によっては親子で飲んでいただくことをお勧めする場合があります。

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夜尿症(おねしょ)について

夜尿症(おねしょ)についてお子さんの夜尿症(おねしょ)は、「5歳以上で1カ月に1回以上の頻度で夜間睡眠中に尿失禁を認めるものが3カ月以上続くもの」と定義されています。5歳のお子さんで15%、10歳で5%、15歳で1%の割合で発症しています。夜尿症は、自然に治るケースが多いですが、お子さんのコンプレックスにつながらないように外泊する機会の増える小学校に上がる前の5歳頃に治療を開始される方が多く見られます。

早めに適切な治療を

夜尿症は、適切な治療を開始すると1年で50%以上、2年で80%以上が完治するとされています。ただし、お子さんの年齢が10歳以上になってからの治療では、治癒率が下がるとされています。なるべく早めに適切な治療を始めることが大切です。

夜尿症の原因

寝ている間に作られる尿の量が多過ぎたり、膀胱に溜められる尿の量が少なかったりすることが主な原因です。たくさん尿が溜まると、膀胱が刺激されて睡眠中でも尿意を感じるようになりますが、お子さんの場合は眠りが深く尿意を感じても覚醒できずにおねしょをしてしまいます。
また、遺伝的要因もあるとされ、保護者の方のどちらにも夜尿症の既往がある場合、お子さんのおよそ75%は夜尿症を発症するとされています。

夜尿症と失禁

昼間にお漏らしをする場合、成長や発育に問題がある場合、便失禁・慢性便秘などの場合は、夜尿症ではなく尿失禁が疑われるため、それに適した診療が必要です。

夜尿症の治療内容

夜尿症の治療の基本は、これまでの生活習慣の見直し・お薬の内服・アラーム療法とされています。生活習慣を見直して改善することで、およそ20~30%に症状改善が見られます。始めの2週間で、生活習慣の改善を記録して効果を確認していきます。その経過によって、治療方針を保護者の方やお子さんと相談しながら決めていきます。
夜尿症の治療で大事なことは、保護者の方が怒らない・うまくいった時にできるだけ褒めることであり、お子さんと一緒に治療を進めていきます。

生活習慣の改善

水分摂取の量や方法・食事の時間・塩分摂取量・寝る前に必ずトイレに行くなどの生活習慣を見直しながら改善していきます。治療において、夜中にお子さんを起こしてトイレに連れていくことは、逆効果だと考えられています。

お薬の内服

ミニリンメルトOD錠を処方し、薄い尿がたくさん作られるのを抑えます。これで、およそ70%の夜尿症が改善されます。効果を十分に得られなかった場合、薬剤の併用を検討します。治療経過をしっかりと観察して、必要に応じて連携する専門の医療機関をご紹介します。

アラーム治療

水分を感知する小さいセンサーをパンツに付けて就寝します。センサーは水分を感知するため、お子さんがおねしょをするとアラームが鳴ります。アラーム音によって、おねしょをした瞬間を本人が認識できるようになります。睡眠中に膀胱に溜められる尿の量を増やし、おねしょの回数や量を減らすように取り組んでいきます。

尿路感染症について

尿の通り道(尿路)である腎臓・尿管・膀胱・尿道になんらかの原因で細菌やウイルスなどの病原体が侵入して炎症を起こす疾患を尿路感染症と言います。大人だけではなく、お子さんや赤ちゃんにも発症の可能性がある疾患です。乳児期の発熱のおよそ5%は尿路感染症が原因とされ、男の子は1~2%、女の子は3~5%に発症するとされています。特に、1歳未満では男の子に多く見られ、それ以降の年齢では女の子に多く見られるのも特徴です。

尿路感染症の原因

細菌やウイルスの侵入が原因ですが、およそ80%のケースは大腸菌によって起こるとされています。複数の細菌が原因の場合や、大腸菌以外が感染の場合・尿路感染症を繰り返し発症する場合は、腎尿路異常が疑われます。この場合は、精密検査を受ける必要があります。

主な症状

発熱・食欲低下・不機嫌などの症状が現れます。小さいお子さんの場合は、症状がはっきりしない場合があるので、注意が必要です。早めに医療機関を受診して、特定される発熱の原因が分からない場合は、尿路感染症の可能性を考慮して検査を行います。お話しが出来るようなお子さんでは、そのほかの症状として排尿時の痛み・腰背部の痛み・下腹部の不快感などがないか確認します。また、頻尿が目立つことで保護者の方が気付くことも多くあります。

検査と診断・治療

尿検査と尿培養検査を行います。尿培養検査では、細菌の種類を特定できるので適切な治療に結びつきます。小さいお子さんの尿採取は、正確な検査のためカテーテル挿入での尿採取を行います。また、複数の細菌感染や大腸菌以外の感染が原因の場合・尿路感染症を繰り返し発症する場合は、腎尿路異常の疑いがあるので精密検査を行います。細菌感染が原因の場合は、抗菌薬投与を行います。この場合、入院加療が必要になることがあります。

血尿・蛋白尿について

腎臓病などの早期発見を目的として尿検査を行います。血尿や蛋白尿は、治療の必要がない生理的変化の場合もありますが、腎臓病や膠原病などの初期症状の場合は治療が必要となります。いずれも、健康診断などで行う尿検査で異常が見られた場合は、お早めに当院までご相談ください。

生理的な血尿・蛋白尿

日常におけるストレスや激しい運動・発熱などは尿の状態に大きく影響します。これらの原因で血尿や蛋白尿となっている場合は生理的とされます。やせ形で思春期に見られる体位性蛋白尿(起立性蛋白尿)によって尿蛋白陽性となる場合もあります。また、検査の際に月経血が混入したり、ビタミン剤などの薬剤が影響したりして血尿とされる場合もあります。生理的な血尿や尿蛋白は特別な治療対象ではありませんが、腎臓病や膠原病など疾患の初期症状である場合もあり、定期的に検査しながらフォローが必要です。

病的な血尿・蛋白尿

腎臓病・慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群・IgA腎症・膠原病などの可能性があります。腎臓疾患以外の場合でも血尿や尿蛋白が出ることがあるため、必要に応じて精密検査を実施して、適切な治療を行います。

尿異常の場合に行う検査

より正確な結果を得るため、早朝第一尿(翌朝起床後最初の尿)を採取する尿検査を複数回行います。それと同時に、血液検査・腹部超音波検査を実施することがあります。検査の結果によっては、連携する専門の医療機関をご紹介します。

包茎について

亀頭に包皮が被っている状態を包茎と言います。生まれて間もない男の子は、全員包茎の状態です。生後6カ月未満では95%以上が包茎で、3~4歳では50%、11~15歳では30%以下とされています。お子さんの包茎について、清潔を保てない・臭いが気になる・手入れが分からないなどのお悩みが多く寄せられます。このままでいいのかどうか、不安や心配なことがありましたらお気軽に当院にご相談ください。

治療した方がいい包茎

尿をうまく出せない場合、尿路感染症や亀頭包皮炎を繰り返し発症する場合、閉塞性乾燥性亀頭炎の場合は治療を検討します。特に、嵌頓包茎の場合は、早急に治療が必要になることが多いため注意が必要です。
尿路感染症は、尿管・膀胱・尿道が細菌感染によって炎症を起こしている状態です。亀頭包皮炎は、陰茎先端が細菌に感染し赤く腫れて痛みが生じます。また、閉塞性乾燥性亀頭炎は、包皮が白く瘢痕化し、病状が進行すると包皮が硬くなり、先端が狭窄・閉塞してしまいます。お早めに当院までご相談ください。
嵌頓包茎は、包皮を下げて亀頭を出した際、包皮を戻せず亀頭が腫れてしまった状態で、激しい痛みが生じます。この場合、慌てずゆっくりと戻しますが、戻せない場合は早急に受診しましょう。

治療

ステロイド含有軟膏を少量、1~2カ月ほど塗布治療を行います。およそ70~80%で治療効果が期待できます。包皮を優しくゆっくりと下げて、下がらない位置に軟膏を少量塗布します。これを1日2回行います。嵌頓包茎で、戻そうとしても戻せない場合は、速やかに当院までご相談ください。治療を行っても十分な効果が得られなかった場合、或いは感染症を繰り返し発症する場合は、手術治療を検討します。

亀頭包皮炎について

亀頭が細菌感染によって炎症を起こした状態を亀頭包皮炎と言います。陰茎の先端が赤く腫れて強い痛みが生じるほか、排尿時の痛み、出血・膿などの症状が見られることがあります。

原因

包茎の場合は、内側に細菌が繁殖しやすく、亀頭包皮炎を繰り返し起こすことがあります。包茎でない場合でも、おむつやパンツの蒸れ・汚れた手で触る・しっかりと洗えてないなどが原因で、亀頭包皮炎になることがあります。

治療

感染巣を洗浄し、抗菌薬含有ステロイド軟膏を塗布します。症状が強い場合には、抗菌薬の内服治療を併用します。症状を繰り返す場合は、包茎治療をお勧めすることがあります。

停留精巣について

新生児の4~7%が停留精巣とされています。陰嚢を触っても中に精巣(睾丸)が分からない場合に、停留精巣を疑います。生後3カ月までには自然と精巣が下降し、60~70%で改善が見られます。男の子の泌尿器疾患の中でも、停留精巣は非常に多く見られ、生後3カ月の赤ちゃんの1~1.5%に見られるほどの発症頻度です。停留精巣をそのまま放置してしまうと、将来の不妊や精巣腫瘍(悪性腫瘍)の発症原因となる恐れがあります。また、普段は分かりにくく、入浴時だけ触れて存在がわかる移動性精巣もあります。停留精巣の疑いや心配がある方は、お気軽に当院にご相談ください。

診断と治療

触診で診断を行います。初診時に、精巣挙筋反射などで判断できないことがあるため、複数回診察して診断する場合があります。1歳になっても精巣が自然に下降しない場合は、精巣固定術という手術治療を検討します。精巣固定術は、2歳くらいまでに手術治療を受けることをお勧めしています。手術が必要な場合は、連携する専門の医療機関をご紹介します。気になる症状がある場合は、早めに当院までご相談ください。

新生児月経について

生まれる前の赤ちゃんには、母体の女性ホルモンが伝えられますが、生まれた後は母体からの女性ホルモンの影響を受けなくなるため、赤ちゃんの子宮内膜が剥がれて月経のように出血を起こすことがあります。生後3~5日頃に始まって、1週間ほど続く状態を新生児月経と言います。特別な治療はなく心配は要りませんが、症状が見られたら慌てず対処しましょう。

新生児帯下について

母体の女性ホルモンが影響して、新生児期の女の子の赤ちゃんに起こる白いおりものを新生児帯下と言います。生後2週間ほどでおりものは自然となくなります。特別な治療もなく心配は要りません。

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